Munic

確かにこの映画をユダヤ人勢力が牛耳るハリウッドでつくるというのは並大抵のことではないのだろうと思います。

Inspired by real event.とはじまりに出てきますが、この手の現実の事件を素材にした映画、それも政治的に微妙な素材を扱う場合、通常の劇的な手法がどこまで有効なのか、考えさせられるところです。たとえば、情報の鍵を握るフランス人パパ家族の存在ですが、この設定はいかにもスパイ暗躍ものジャンルにありそうな設定で、陳腐であり、スピルバーグの史実とその隙間を埋める想像力の在り方に問題がるように思います。また、ラブシーンとMunicテロ現場の殺戮シーンがインターカットされるのもいただけませんでした。こういうことをすると、作り手のあざとさが、目に付きすぎます。

この映画の言わんとするところに個人的には賛同できるのですが、これで人を説得できるのか、考えさせることができるのかというと、ちょっと難しいのではないかと思いました。