シリアナ

何とも複雑な話で、登場人物がやたらと多く、しかも場所が中東のどこそことアメリカのどこそことヨーロッパのどここそこをカット代わりでそっと場していくので、この話がいったいどこへ向かっているのやら、前半全然わからない。

かといって退屈することもなく観ているとあるワンシーンで、中東のある人物のある崇高な理想実現を如何にアメリカの石油資本が国家ぐるみでうち砕いていったかという話に急速に収束していく。極めて明解な反米(反石油資本=ブッシュ共和党)メッセージを持ったこの映画、最後はそうだよこれじゃあ9.11もしょうがない、こんなに悪いことをしているんだったら仕返しされてもしょうがない、というふうに観客を感情移入させていく過程は圧巻である。正直言ってそのように私もそのように感情移入してしまったので、見終わったあとは、かなり居心地が悪い。